お昼のグループ


初出勤の日、心細くて、お昼どうしようって思ってると、
隣の席のFさんが「お昼どうするの?」って声をかけてくれました。
「えー、わかんない。どうしよう」
「いっしょに食べる?あたし10人ほどのグループで食べてるの」
私は涙が出るほどうれしくて、
「あ、うん。いっしょに食べたい」って言いました。

Fさん、私のことみんなに(というより一番年上のMさんを意識しながら?)、
紹介してくれて、私は「よろしくお願いしまーす」って小さな声で会釈して、
Mさんと数人の人も「よろしくねー」って言ってくれました。
ホッとしました。でもその日は緊張してたから、あまり食欲なかったです。

それから毎日そのグループでお昼を食べてたけど、
Mさんが中心でおしゃべりしてて、
他の人たちはその話に笑ったり、
相槌を打ったりする人が多くて、
Mさんがそのグループを仕切ってる感じがして、
私はあまりしゃべらずにおとなしくしていました。

そのとき少し離れたテーブルで3人のグループがごはんを食べてたんだけど、
その子たちが楽しそうで、性格も私と近そうで、
私はあのグループのほうがいいなってずっと思っていました。
でも突然私が別のグループに移ると、
みんないい顔しないんじゃないかと思って、
ひょっとしたらMさんに目をつけられるんじゃないかと思って、
どうしたらいいんだろうってずっと思ってました。

ある日その3人グループの一人Aさんと仕事のことで
いろいろ教えてもらったことがきっかけで仲良くなって、
「お昼いっしょに食べてもいい?グループ入れてくれない?」って言ったら、
「いいよー、おいでよー^^」ってあっさり言ってくれました。
「むこうのグループ抜けても大丈夫かなぁ?
『抜けます』ってMさんに言ったほうがいいかなぁ?」って私が言ったら、
「えー、別に言わなくてもいいんじゃないかなー^^;」

次の日から私はAさんのグループでお昼を食べるようになりました。
Aさんはわりとひょうきんで、笑い話をするときは、
口調が落語家系(噺家系)になります(笑)。
Bさん、Jリーグの横浜マリノスのファンで、
応援に行くときは顔にペインティングをするそうです。
当時ワールドカップの最中で、一人で盛り上がってました(笑)。
他のメンバー(私も含め)はサッカーにうといので。
Cさん(唯一名前を覚えてます。A・Sさん)、
まじめできっちりしてる感じ。妹さんと仲良し。
お化粧はほとんどしない(薄く口紅引く程度)って言ってました。
色白で肌がとてもきれいでした。

ある日私は体調が悪くなって、
それがちょうどお昼休みでした。
トイレから出てきたら、
私の部署の女性はみんな買い物に出てました。
それで私は直属の上司の女性に
理由を話して早退させてもらったんです。
そしたら次の日みんなすごく怒ってて、
お昼のメンバー(とくにCさん)にも責められました。
「上司より同僚でしょ」って言われました。
「同僚に何も言わないで帰っちゃうなんて」
仕事に対する姿勢(無責任)を責められました。
私はそのときもあまり体調よくなかったせいもあって、
思わずポロポロ泣いてしまいました。

みんなに責められたことが直接の原因じゃないんです。
私はもうこれ以上重い体を引きずって(薬に頼って)、
仕事を続けていく気力がありませんでした。

私が会社をやめるとき、一番やさしかったのは意外にもMさんでした。
彼女は「お疲れさま」って言って、Pinky&Dianne のハンカチを
私にプレゼントしてくれました。「銀座で買ったの」

私は同じ部署のみんなと、別の部署の女性1人に、
そのころ趣味で作った名刺(イラストとメルアド入り)
を渡しました。

会社をやめて
2か月くらいたったとき、
思いがけず
Mさんからメールがありました。
「元気ぃ〜?」
しばらくのあいだ彼女と
メールのやりとりを
していました。

そんな中でMさんは
小学校1年生の
娘さんの写真を
送ってくれました。
Mさんによく似てて
かわいかったです。

Mさんは離婚してて、
シングルマザーでした。

私は第一印象で人を見てしまう。
そのことがよくわかって、とても反省したあの日。

もうパソコンのOSを再セットアップしてしまっていて、
あの写真は消えてしまったけど、その雰囲気は今でも覚えてます。
キャラクターの付いたカーテンの前で楽しそうに笑ってる女の子。
すてきなレディーになったかなぁ。Mさん元気にしてるかなぁ。


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