紙ひこうき


私は病院に入ってる。
窓から高校生が通学してるのが見えるの。
近くに高校があるみたい。

ここはふつうの病院じゃないの。
窓には鉄格子がとりつけられてる。

入院した当初は
閉じ込められた状態が安心だった。
私は薬のせいで寝るばかりしてた。
薬になれて眠気がとれたころ
こんどはいっさいしゃべることが
許されない生活が始まった。

その生活が終わったころ、
窓から見える風景が苦しいほど切なくて
病院から逃げ出したくなった。

そして一人の男の子に恋をした。
肩を抱かれるのを空想した。

私は鉄格子のすきまから
紙ひこうきを飛ばしてみた。
へんな飛び方をして
病院の敷地内に落ちた。

もう一つ飛ばしてみた。
こんどは壁を越えて
むこうの道に出た。
学生服を着て自転車に乗った
高校生の男の子の頭にコツンと当たった。
私は思わず窓から頭をひっこめた。

しばらくすると男の子たちの笑い声。
そっとのぞいてみると男の子
私に気づいたみたいにこっち見た。
かあぁぁぁ。
また私は頭をひっこめた。

片想い


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