ストーブの向こう側


わたしの高校の教室にはストーブがありませんでした。
それでよく友達と図書館のストーブに当たりに行ってました。

ある日いつものようにストーブに
当たりに行って、友達と話してると、
ストーブの向こう側の男子の一人が、
「かわいい。左」って小声で言うのが
聞こえました。そしたらその友達が
わたしのほうを見たんです。
わたしは友達の右にいたから、
やっぱりわたしのことを言ってると思いました。
わたしは恥ずかしくて、気づかないふりをして、
男子のほうは見ませんでした。
友達の話を聞いてるふりをしていました。
友達は気づいてませんでした。

そのときのわたしの髪型は、
普通のおかっぱ頭なんだけど、前髪は長くて、
うつむくと目が隠れる感じでした。

わたしには好きな人がいました。
でもその人には彼女がいたんです。
しかもラブホテルから出てきたところを見た人もいて、
ショックだったので、他の男子に「かわいい」とか
言われてもぜんぜんうれしくなかったです。
その男子二人の顔も見ずに図書館から戻りました。

少し前に試しに好みに近い微妙な人と
デートしてみたことがあるけど、
やっぱりキスとかできないんです。
感じが似てても生理的に拒否しちゃうんです。
だからその人を傷つけてしまいました。

好きだったMくんとキスしたかった。
今は彼女がいたとしても、後で別れたら、
わたしはプライド捨ててでも告白したかった。
「好きです。付き合ってください」
そう言ったらたぶんわたしは泣くと思います。
Mくんと涙のキスをいっぱいして、
そのままMくんに抱かれたかったです。


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