この地上にもう少し


イエスさまが本当におばあちゃんになるまで
わたしをこの地上に置いてくださったら、
もう二度と帰らないと思ってたふるさとに
帰ってみようかとふと思いました。
きのう見た「ラストレター」のせいです。

もう高校の同級生もほとんどいなくなって、
たぶんわたしが好きだった人もいなくなって、
ふるさとの景色もわからないくらい変わってて、
もちろん家族もみんないなくなっています。

わたしは杖をついておぼつかない足元で
何十年ぶりかの新幹線に乗ります。
でもおしゃれなワンピースで行きたいな。
実家の場所は今も覚えてるけどまだあるのかな。
従妹(いとこ)の家はすぐそばだけど寄らないつもり。

わたしは初めて母と弟のお墓の前にひざまずきます。
でも母も弟も人間なので手を合わせたり拝んだりはしません。
ただ母のことや弟のことをぼんやり思い出すでしょう。
ずっと嫌いだった父のお墓の前にも行くと思います。
父を憎み続けてたような気がしていたけど、
本当はずっと前から赦していたのかもしれません。
わたしにはゼッタイできないことだから、
イエスさまがわたしにしてくださってたのかも。

好きだった人と初めて二人で待ち合わせた
「〇〇いち」の公園は今でもあるのかな。
歩くのはもう無理だからタクシーに乗って行こう。
高校2年の冬の期末試験の最終日でした。→ イラスト11

イエスさまはわたしに出会ってくださった。
だからわたしの人生は変わりました。
イエスさまお迎えに来てくれないかな。
このまま逝きたいな。

「本日わたしたちは卒業の日を迎えました。高校時代はわたしたちにとっておそらく生涯忘れがたいかけがえのない思い出になることでしょう。「将来の夢は?」「目標は?」と問われたら、わたし自身まだ何もわかりません。でもそれでいいと思います。わたしたちの未来には無限の可能性があり、数え切れないほどの人生の選択肢があると思います。ここにいる卒業生一人一人が今までも、そしてこれからも、他の誰とも違う人生を歩むのです。夢をかなえる人もいるでしょう。かなえ切れない人もいるでしょう。つらいことがあったとき、生きているのが苦しくなったとき、きっとわたしたちは幾度もこの場所を思い出すのでしょう。自分の夢や可能性がまだ無限に思えたこの場所を。お互いが等しく尊く輝いていたこの場所を。卒業生代表 遠野未咲」(映画「ラストレター」より)


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