2010年5月17日(月)


文治さん語録

こないだ書いた「八日目の蝉」ですが、文治さんは原作には出てこないそうです(脚本を担当した浅野妙子さんの創作みたいです)。それを知ってから、私は原作を読む気になれないでいます。文治さんと希和子のやりとりがとても好きでした。未だに録画したのを見直しては涙ポロポロしています。それでさっき印象に残った会話を書き留めてみました。最後の会話だけは、文治さんと薫(恵理菜)と千草(薫がエンジェルの家で知り合ったマロンちゃん)です。

「あの。すみませんでした。いろいろしていただいてるのに、お礼も言わないで」「あんた、俺が怖いねやろ?男が怖いんか?ようわからんけど。ええねや、怖かったら近づかんで。俺もあんたを怖がらせとうない」

「今お茶入れますね。・・何ですかこれ」「きのうの診療費」「やめてください。こんなことしてもらう理由がありません」「ええねん。俺は独り身やし、金があっても使うあてがない。あんたこの先いろいろ大変やろ。これからこん子が病気するたんびに、自費で払わんといけんのやろ?」

「ちょっとええか?あんたの気持ちが聞きたい。なんだかずっと他人行儀やなぁ」「そんなことありません。普通にしてるだけです」「ま、そんならそれでええけど」「文治さん、私にかかわってもいいことないですよ。私の人生にはこの先いいことはないですから。わかってるんです」「そんなことはないやろ。あんたには薫ちゃんがおるやないか。あんたが俺のことどう思っていようがかまわんよ。けど俺はあんたと薫ちゃんが好きや。何かあったら頼ってほしいと思うてる」

「女将さんに俺のこと言うてくれたんか」「すみません。そんなつもりなかったんだけど」「謝ることないよ。これでもうコソコソせんとあんたといっしょにいられる。俺はあんたと薫ちゃんを大事にするよ。あんた見とると、不安で胸がチリチリすんねや。目を離したすきに、不意におらんようになる気ぃしてなぁ」「ごめんなさい。けど、いっしょにはいられない」「なんでや。俺が嫌いなんか?」「そうじゃない・・。薫ー、あんまりそっちに行ったら危ないよー。潮が満ちてきたら、帰ってこられなくなるよー。・・ごめんなさい」

「薫ちゃん大丈夫か?どうしたん?」「何でもないの。すぐに泣き止むから」「ほんまに何でもないか?どこにも行かんよな。どこにも行かんでくれ。答えてくれ。あんたが何をした人でも、俺は裁かんよ。あんたを助ける。あんたがここにいられるよう何でもする。何があったのか教えてくれ」「帰ってください。薫が心配するから。帰って、お願い」「どこにも行かんて約束してくれ」

「島の方ですか?」「見りゃわかるやろ」「あの、ちょっとお尋ねしたいのですが。この女性のことで何かご存じないでしょうか?15年ほど前にこの島にいた人なんですけど」「あんたらどういう人?」「私たちは20年前の多摩市の女児誘拐事件を取材してる者です。この写真の女性は野々宮希和子といって、事件の被告というか、犯罪者なんです」「こん人らは普通の親子やったよ。被告やら犯罪者やらいうもんやなかった。京子さんは普通の母親で、薫ちゃんは普通の娘やった。お互いを大切にして、いっときも離れとうないみたいに、いつもいつもくっついとった」「ご存じなんですか?彼女を」「警察が来て、薫ちゃんをあの人からもぎとっていったんや。ぴた〜っとひっついとった二人を無理矢理引き離して」「そのときのこと教えてください。その人が子どもから離されるときに、何て言ってたのか、何て叫んだのか」「あんた、誰や?・・薫ちゃんかぁ」「教えてください。その人が最後のときに、あのときに何て言ったのか」「覚えとらんのか?あの人は最後まであんたの心配をしとった。自分がおしまいになっても、まだ。こう言うたんよ、あの人は。待ってくれって。その子はまだ・・」

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