2021年5月1日(土)


上野には電車一本で

船橋から上野までは電車(京成線)一本(京成船橋駅から京成上野駅まで乗り換えなし)で行けます。でも映画「僕だけがいない街」の藤沼悟(藤原竜也)のアパートに来た母佐知子(石田ゆり子)が「上野って電車一本で行けんのかい?」って聞くと、悟はなぜか「行けねえよ」って言います。そのときは2006年で、悟は出版社にマンガを持ち込んでも欠点ばかり指摘され、持ち帰った原稿を部屋でビリビリに破いていました。佐知子はそれを片付けてテーブルの上に置いていました。船橋に来て時間がたってなくて、京成線のことをまだ知らなかったのかもしれません。だから1988年にタイムリープしたとき、悟(中川翼)はふいに「覚えておいて。上野にはホントは電車一本で行けるんだ」って母佐知子(これも石田ゆり子)に言ってキョトンとさせます。わたしはこういう伏線がいろんなところに仕掛けられてるこの映画に未だにはまっています。悟が愛梨(有村架純)と夕立の中で再会して、ひとしきり会話したあと、思わず言った言葉「会いたかった」も、タイムリープする前に病院を抜け出して会いに来た愛梨が「悟さん会いたかったよー」って素直に言ったのに、悟は素直になれずに「うん」とうなずいただけだったことを受けています(心の中では「僕も会いたかった」って叫んでたけど)。初めて会った人に急にそう言われた愛梨は「え?」ってとまどいます。悟は我に返って「前にその人とここで会ったときにそう伝えたかったなって」って言い直します。「ふうん」。今は他人同士のふたり。涙が出ます。→ 口に出して言ってると

(2006年)「あーお帰りー」「鍵ぐらいしとけよ。田舎じゃないんだからさ」「悟、菜箸どこさ」「ないよ」「しょうがないねー。明日いろいろ買ってくるかー」「いいよそんなの」「当分のあいだあたしここ住むからさ」「は?何で?」「かわいい一人息子が頭打ったんだもん」「大丈夫だって。オレ仕事もあるしさ。それにマンガだって」「あんただって仕事してるあたしんちに18年間も住んでたっしょ」「何だよそれ」「あたし一人いるくらいで描けないマンガなんてもともと描けないっていうことだべさー」「・・・」「ねえ、上野って電車一本で行けんのかい?」「行けねえよ」「あ、そう。ふん」「結局観光かよ」

(1988年)(佐知子が雛月加代(鈴木梨央)に)「したっけあした待ってるね」「はい」。(これ以降は佐知子と悟のやりとり)「途中で投げ出すんじゃないよ」「うん」「よし。行っておいで」「覚えておいて。上野にはホントは電車一本で行けるんだ」

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